妊娠中、カフェインは良くないという話をよく聞きます。
「カフェイン」と聞くと「コーヒー」と結びつく方は多いと思いますが、実はコーヒー豆以外にも、緑茶や紅茶などの葉茶、チョコレートの原料であるカカオ豆などに含まれています。
妊娠中にカフェインをとり過ぎてしまうと、どうなってしまうのでしょうか。
パッと読むための目次
妊娠中のカフェインとり過ぎってどれくらいの量なの?
WHO(世界保健機関)などの、各国のリスク管理機関によると、妊婦が1日に摂取できるカフェインの目安量は、200~300mgとなっています。
お茶の種類 | 100mlあたりのカフェイン量 | 1杯飲んだ時のカフェイン |
---|---|---|
コーヒー | 60mg | 90mg(150ml/杯) |
紅茶 | 30mg | 45mg(150ml/杯) |
煎茶 | 20mg | 30mg(150ml/杯) |
ほうじ茶 | 20mg | 30mg(150ml/杯) |
玄米茶 | 10mg | 15mg(150ml/杯) |
番茶 | 10mg | 15mg(150ml/杯) |
玉露 | 160mg | 96mg(60ml/杯) |
抹茶 | 64mg | 64mg(100ml/杯) |
烏龍茶 | 20mg | 30mg(150ml/杯) |
麦茶 | 0mg | 0mg(200ml/杯) |
はと麦 | 0mg | 0mg(200ml/杯) |
ルイボスティー | 0mg | 0mg(200ml/杯) |
飲料の種類 | 100mlあたりのカフェイン量 | 1本飲んだ時のカフェイン |
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伊右衛門 | 10mg | 50mg(500ml) |
ペプシ | 10mg | 49mg(490ml) |
アリナミンV | 100mg | 50mg(50ml) |
リポビタンD | 100mg | 50mg(100ml) |
眠眠打破 | 240mg | 120mg(50ml) |
レッドブル | 32mg | 80mg(250ml) |
モンスターエナジー | 40mg | 142mg(355ml) |
ペットボトルのお茶や、エナジードリンクなどはつい飲み過ぎてしまったりするので注意が必要です。
飲み物以外にも、カカオを原料とするチョコレートやココアにも、少量ですがカフェインは含まれています。
種類 | カフェイン量 | 1杯(1枚)分のカフェイン |
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ミルクチョコレート | 30mg(100g) | 15mg(1枚50g) |
バンホーテンココア | 6mg(100ml) | 12mg(200ml) |
コーヒーなどに比べると微量ですが、カフェインの含まれている飲み物を飲みながらのチョコを食べたりすると、気付いたらとりすぎてしまったという事があるので注意が必要です。
微量ですが、風邪薬などにもカフェインが含まれていることがありますので、薬を買うときはカフェイン量にも注意して購入するようにしましょう。
妊娠中カフェインが母体と赤ちゃんに及ぼす影響
通常カフェインには、中枢神経を刺激して緊張させ、血管や心筋などの収縮をうながしたり、基礎代謝を活発にする働きがあります。
また、覚醒作用があり集中力を高める反面、アドレナリンを放出させることにより、リラックス効果があるといわれています。
妊娠中のカフェイン摂取は母体にどんな影響があるの?
妊娠初期からのカフェインの影響
妊娠初期は、赤ちゃんの発育や成長にたくさんの栄養素が必要とされています。
特に「カルシウム」や「鉄分」は重要な栄養素ですが、カフェインに含まれている「タンニン」という成分が、吸収を悪くしてしまいます。
カフェインをとると、利尿作用があることは知られていますが、せっかく体内に取り入れたカルシウムや鉄分とタンニンが結合し、排尿とともに大切な栄養素を体外へ排出してしまいます。
そのため、カフェインをとりすぎると、母体がカルシウム不足になったり、貧血を起こしやすくなったりすることがあります。
●イギリスによる研究結果●
妊娠8~12週の妊婦を対象にカフェインと出生体重の関係を調査
1日にカフェイン100mg以下の人と比較して、1日100~199mgでは低出生体重児を出産するリスクが20%高くなり、200~299mgでは40%、300mg以上では50%と報告されています。
●スウェーデンの研究結果●
1日100mg以上カフェインを摂取している場合に流産する人が多く、しかも摂取量が増加するごとにその率が増加したという報告があります。
妊娠中期からのカフェインの影響
妊娠中期から、だんだんお腹が大きくなり、胃が圧迫されてきます。
この時期にカフェインを多くとると、消化器系や胃液の分泌を活発にする効果があるため、胃もたれや、吐き気、下痢などの症状を引き起こすことがあります。
妊娠後期からのカフェインの影響
妊娠後期になると、肝機能が低下してきます。
ですから、この時期にカフェインを多くとると、高血圧を誘発してしまう可能性があります。
妊娠中のカフェイン摂取は赤ちゃんにどんな影響があるの?
カフェインは胎盤を通過してしまう
ママがカフェインをとりすぎると、必要なほかの栄養素と同じように、胎盤を簡単に通過して赤ちゃんへ送られてしまいます。
お腹の中の赤ちゃんは、肝臓や代謝機能が未発達ですので、カフェインを上手く体外に排出することができません。
結果、赤ちゃんの身体や脳にカフェインがどんどん蓄積されてしまいます。
カフェインは血管を収縮させる
カフェインには血管を収縮させる作用があるため、母体から胎盤へ送られる血液が減少する可能性があります。
血液が減ると、胎盤の形成に影響がでたり、赤ちゃんへの酸素や栄養素が十分にいきわたらなくなります。
海外の研究機関によると、妊娠中のカフェインの過剰摂取は、お腹の中の赤ちゃんに下記のようなリスクがあると報告されています。
- 低酸素状態
- 発育障害
- 発育遅延
- 低体重児
- 流産・早産・死産など
妊娠中にカフェインをとり過ぎた時の対処方法は?
水分をたくさんとる
水分をたくさんとると、カフェインのとり過ぎによる症状を和らげることができます。
さらに、身体からカフェインを排出する手助けをしてくれます。
この時、ウオーキングなどの軽い運動をすると効果的にカフェインを排出できます。
カリウムやマグネシウムをとる
カリウムやマグネシウムを含むものを食べることもカフェインをとりすぎた時に効果があります。
・バナナ
・みかん
・キウイ
・リンゴ
・色の濃い葉物野菜など
まとめ
カフェインのとりすぎは、母体にも赤ちゃんにも少なからず影響があることが分かりました。
できれば、妊娠中はカフェインを含む飲み物や食べ物を避けたいものですね。