この記事では、実際に帝王切開を経験した私が、切開傷の痛み以外で何が大変だったかを書いていきたいと思います。
これから帝王切開を受けるママへ向けて、怖がらせるわけではないのですが、あらかじめ知っておいて欲しい予備知識です。
痛みが襲ってきたときに、対応できるアイテムも合わせてご紹介しているので、参考にしてくださいね。
パッと読むための目次
帝王切開後えげつない腰痛が襲ってくる
タイトルに「えげつない」と書きましたが、本当に辛かったです。
「産後すぐにくる腰痛」と「数年後忘れた頃にやってくる腰痛」の2種類があります。
帝王切開で産後すぐの腰痛
帝王切開の場合、産後しばらく寝たきりの状態が続きます。
術後すぐは絶対安静ですし、数日経って横向きになったりして、少しでも体を動かそうとするとお腹の傷に激痛が走ります。
私の場合、妊娠中からお腹の重みで、腰が反り返ってかなり姿勢が悪かったので、それも含めてじっと寝ていられないくらいの、腰痛に襲われました。
横向きになることもできないので、腰の下に手をしいたり、立った際に自分で揉んでみたりしましたが、あまり効果もなく・・・
その時の体験談は下の記事にまとめましたので参考にしてください。
産後すぐのこの腰痛には、帝王切開術後5日間くらい悩まされました。
帝王切開後の将来襲ってくる腰痛
私はまだこの腰痛には襲われていないのですが、「帝王切開を経験した人特有の腰痛」があるみたいです。
それが、手術後の癒着(ゆちゃく)による腰痛
癒着(ゆちゃく)とは、炎症によって、本来離れてる組織同士がくっついてしまう事です。
帝王切開の手術によって傷ついた正常な組織同士を縫合すると、その組織はくっついて自然に治癒します。
しかし、治癒の過程で本来は離れている組織同士がくっつくことがあます。
一般にはこのことを「術後癒着」と呼びます。
つまり、帝王切開による癒着で、子宮の切り口と違う組織(腹膜、膀胱、小腸)とが結合してしまう事があるのです。
この癒着が原因で、体がゆがんだり、血行不良がでたり、姿勢が変化したりしてしまいます。
つまり「癒着」が腰痛や股関節痛を引き起こす原因となりうるのです。
また、この癒着による腰の痛みは、すぐ現れる訳でなく、帝王切開手術から3年…5年…10年…20年後と長いスパンで現れます。
一番多いのがこの腰痛ですが、腰痛以外にも、不妊症や下腹部への違和感、腸の蠕動運動低下による下痢や便秘などが症状として将来でてくる場合があります。
帝王切開後の頭が割れそうな頭痛
帝王切開後に頭が痛くなるなんて知らなかったので、突然頭がガンガンする頭痛におそわれたときは、産後で精神が不安定だったこともあり、涙が止まりませんでした。
大体1~2週間、長い人は1ヵ月くらいこの頭痛が続くそうです。
寝ているときはだいぶ緩和されるのですが、起きると割れるように頭が痛かったのを覚えています。
帝王切開後の頭痛の原因
帝王切開手術の前に行われる、麻酔の注射が原因だそうです。
帝王切開では、腰に麻酔の注射を打つのが一般的です。
腰椎に針を刺し、髄液中に麻酔を注入するのですが、この針の穴から髄液が漏れることで頭痛が起きるようです。
これは注射のミスではなく、脊髄への注射において一般的なことのようです。
髄液が漏れると脳の状態や血流などが変化するため頭痛が起きるといわれており、漏れた量が多いほど頭痛も酷い傾向にあります。
頭痛をひどくさせる要因
帝王切開の術後すぐは「絶対安静」となっていますが、術後すぐから次の日の朝までに、少しでも頭を起こしたりすると頭痛がひどくなります。
例えば
誰かお客さんが来たので頭を起こし挨拶した
赤ちゃんに初乳を飲ませるときに首を起こした
など、手や首から上は動くので、ついつい動かしてしまいがちですが、絶対安静の間は動かしてはいけません。
横にごろごろと向きを変える程度なら平気なのですが、頭を起こすのは厳禁です。
帝王切開産後の頭痛の対処法
水分を多めに摂取する
コーヒーなどのカフェインを摂取
が効果的です。
ただし、母乳の場合「カフェイン摂取」は、赤ちゃんに多少影響があるため、妊娠中と同様に控えた方が賢明です。
とにかく水分をたくさんとって、髄液を溜め、麻酔を体の外へ排出するのが、頭痛から逃れる最善策です。
どうしても、頭痛が我慢できない場合は、点滴を多めに打ってもらったり、授乳に影響のない頭痛薬をもらったり出来るので、担当医に相談してみてください。
帝王切開産後は足がパンパンにむくむ
私の場合、帝王切開術後4日目くらいから、足がパンパンにむくんできました。
ジーンとした痛みもあり、むくみで足が痛くなることを初めて知りました。
帝王切開の場合は、産後にむくみが特に重症化する傾向にあるそうです。
むくみの期間は、症状の重さによっても左右され、個人差が大きいみたいですが、だいたい1ヵ月検診までには、むくみが改善される方が多いようです。
帝王切開後になぜ足がむくむのか?
妊娠中は、赤ちゃんのために血液を送るように通常の約1.3~1.5倍の血液量になっています。
それが、出産とともに血液や羊水が一気に流れ出ることで、身体は水分不足を感じ、水分を蓄えようとします。
ですから、産後の身体は水分が溜まりやすく、ひどいむくみが起こりやすくなります。
また、帝王切開特有の産後の点滴も、ガンガン体の中に水分を取り入れてるわりに、痛みでトイレを我慢してしまったりするのが、むくみを促進させてしまいます。
ストレスや疲れも原因の1つ
生まれてきた赤ちゃんを迎えての生活は、頻回授乳やおむつ替え等、予想以上に大変で、ママにとってゆっくりできる時間が、あまりありません。
身体のホルモンバランスも大きく崩れている状態のため、自分では気が付かないうちにストレスを感じています。
加えて寝不足にもなるので、代謝が悪くなり、自律神経も乱れ、血液の流れも悪くなる事が、むくみの原因となります。
授乳や下剤による水分不足
赤ちゃんへの授乳や、産後の便秘予防のために下剤である「酸化マグネシウム」を飲むことによって、水分が大幅に奪われることもむくみの原因の一つになります。
失った水分を補う為、身体は水分をためようとします。
また、授乳をするときは同じ姿勢になりがちで、体に負荷もかかります。
帝王切開後は寝たきりなど、あまり動かない事が多いので、血液の流れも悪くなり、むくみが加速してしまいます。
帝王切開後のむくみの改善方法
足の位置を変える
クッションや丸めたタオルを足元に入れ、足を少し高くして寝ると、血液の巡りが良くなります。
お昼寝や夜寝るときにするだけでもむくみが解消できる、産後のむくみ解消法の中でもお手軽でカンタンな方法です。
ただし、足を高くし過ぎて眠ると、逆に血流が滞ってしまう可能性がありますので、負担にならないくらいの高さで、自然に休める程度にしておきましょう。
シートやソックスでむくみ解消
足裏樹脂シートを貼って寝るのも、血行を促進し、気持ちがスッキリするのでおすすめです。
あとは、弾性ソックス(加圧ソックス)や着圧ソックスを履いたりするのも効果的です。
担当医からは、「帝王切開のむくみには、太ももから足先までを覆うタイプがいい」とアドバイスをもらいました。
足や体を動かす
帝王切開の場合、すぐに動くのは傷が痛むので難しいのですが、足をずっと動かさないままでいると筋力も落ち、血液循環が悪くなり、むくみにつながっていきます。
痛みがある場合はもちろん無理をするのは禁物ですが、少しずつでも、できる範囲で足を動かし歩くよう心がけるのが、産後のむくみ解消につながります。
その他にも
- 体を極力冷やさない
- 塩分控えめの食事をとる
- 早めに授乳を開始する
などがあります。
帝王切開後、むくみが酷くても、足のマッサージはしないほうがいい
産後の足のむくみ解消に「マッサージをするといい」と書いてあるサイトがいくつかありますが、実は帝王切開産後は「マッサージしないほうがいい」とされています。
私が出産した病院のマッサージ師さんによると、
「マッサージで無理に水分を排出しようとせず、自然に任せるのが一番いい」
とのことでした。
帝王切開後の体の中では、傷を治したり、子宮を収縮させたり、母乳を出したり、ホルモンを出したりと大忙しです。
漫画「はたらく細胞」的にいうと、体の全組織が休みなくフル活動している状態です。
そんな時にさらに、マッサージをして無理やり水分を排出しようとすると、体に過度の負担がかかり、疲れてしまうそうです。
ですので、むくみが酷くても、揉んだりせずに、歩いたり、足を上に上げたりする程度にしておいた方がいいとのことです。
まとめ
人にもよりますが、帝王切開の術後は、傷の痛みに加え、腰痛・頭痛・足の痛みが襲ってくる可能性があります。
傷の痛みについては、こちらで触れていますので、よければご覧ください。
赤ちゃんのお世話もあり、大変ですが、無理をせず上手に痛みと付き合いましょう。