最近、乳がんで亡くなられた著名人や芸能人の話題を多く目にします。
日本人女性が生涯で乳がんにかかる確率は11人に1人。
早期発見できればそのうち90%が治療によって治せるとされています。
しかし、妊娠中や赤ちゃんが生まれてからの授乳中は、どうしても自分の体の事は後回しになりがちですよね。
そもそも、妊娠中や授乳中は乳がんになる確率は下がります。
が、確実に乳がんにならないわけではありません。
特に、20代~30代前半で発症する乳がんは「若年性乳がん」といい、リンパ節などへの転移の割合も高いという特徴があります。
日本人の女性は乳がん検診の受診率が圧倒的に低く、欧米では70~80%の人が受診していることに対し、日本人はわずか30~40%程度。
会社などに勤めていれば勤務先で健康診断があります。
しかし、出産や子育てで仕事から離れていると、自主的に自費で乳がん検診を受けなければなりません。
という方へ、妊娠中・授乳中の乳がん検診について、詳しく解説していきます。
パッと読むための目次
乳がん検診の種類
乳がん検診には主に3種類の検査方法があります。
触診
お医者さんが手で直接触れることで、乳房にしこりがないかを調べる方法です。
マンモグラフィ
乳房X線撮影装置のことで、専用の台の上で乳房を挟んで、X線(レントゲン)撮影する方法です。
超音波
超音波検査は、妊娠中にお腹の赤ちゃんの状態を見るエコーと同じで、ジェルを胸に塗って、プローブと呼ばれる機械を当てて乳房内部を診断します。
妊娠・授乳中は主に「超音波」と「触診」で診断
乳腺が発達している妊娠・授乳の時期は、マンモグラフィでは乳がんを見つけにくい事があるため、基本的には「超音波」と「触診」で検査します。
超音波検査は「超音波」という特別な音を対象物にあてて、音が反射した様子を画像化する医療機器なので、妊娠中や出産後でも安心して受けることができます。
マンモグラフィの放射線って赤ちゃんに影響あるの?
マンモグラフィはX線(レントゲン)撮影するので、放射線被ばくがあります。
妊娠中・授乳中はできれば避けたいと思われている方も多くいると思いますが、
※胎児が影響を受けるとされる「線量100ミリグレイ」に比べたらはるかに少ない●基本的には乳房への被爆であって、胎児のいる腹部にはほぼ影響はない
とされており、マンモグラフィ検査を受ける事になっても、そこまで神経質になることはないと思います。
乳がん検診の費用
医療機関によってことなりますが、自費で乳がん検診を受ける時の目安は
検査の種類 | 費用の目安 |
マンモグラフィ検査 | 5000円前後 |
超音波検査 | 4000円前後 |
マンモグラフィ+超音波検査 | 1万円前後 |
触診+超音波検査 | 6000円前後 |
触診+マンモグラフィ | 7000円前後 |
触診+超音波+マンモグラフィ | 1万2千円前後 |
となります。
検査時間は、受付を含めて約2時間程度で終わることがほとんどです。
会社や自治体で乳がん検診を受診する場合は、健康保険組合や自治体が費用を負担してくれたり、少ない自己負担で受診できるケースがあります。
乳がん検診は家でも出来る
そんな方には、自宅でできる「血液検査キット」があります。
指先から少量の血液を採血し、それを送るだけでがんのリスク検査をしてくれます。
がんの他にも生活習慣病や感染症などの検査も同時に行うことが可能です。
もし、妊娠期間中に乳がんが分かったら
妊娠中に乳がんが発見されても、出産は可能です。
ただし、妊娠週数や進行具合などによって対応はケースバイケースとなります。
状況に応じて、出産後に手術や薬物治療を行うこともありますし、妊娠中に抗がん剤治療を行ってから出産する場合もあります。
欧米では研究が進み、がんを治療しながら出産できる方法が広く知られています。
が、日本では「妊娠とがんの治療を両立できる事実」を知らない人が多く、人工中絶してしまうケースが多々あります。
妊娠中に抗がん剤治療を行ったママの体験談です
抗がん剤治療は、その後、4サイクル受けました。テレビなどで知っている抗がん剤治療のイメージは、吐き気が強くて、髪の毛が全部抜けてしまうというものですが、吐き気止めが効いたのか、私は一度も吐きませんでした。
つわりの時の方が強い吐き気だったぐらいです。また、髪の毛はかなり抜けましたがカツラが必要なほどではありませんでした。
テレビでも紹介されていた、東京都中央区にある「聖路加国際病院」では、これまで乳がんママ、70人が無事出産した実例があります。
03-5550-7098(聖路加国際病院のがん相談支援室)
母体と胎児の間には、がん細胞をブロックする働きがあるため、お母さんが乳がんでも、赤ちゃんにがん細胞が転移することはありません。
乳がん治療後の妊娠はできるの?
乳がん治療後に妊娠される方はたくさんいますし、生存率がそれにより左右されることはありません。
また、過去に抗がん剤やホルモン剤による治療を受けた方が治療後に妊娠しても、流産や早産、乳がんの再発リスクが高まることはありません。
抗がん剤による治療後は、抗がん剤の影響は通常2~3日のうちに体からなくなり、影響は残ることはありません。
しかし、最初の生理が戻るまでは、妊娠を控えることが推奨されています。
また、乳がんの再発リスクが高い方は、治療後2年間はとくに再発リスクが高いため「妊娠の時期を待つべきかどうか」は慎重に判断する必要があります。
「乳がん再発が心配なので出産を諦める」という話を耳にしますが自己判断せず、専門医に相談しましょう。
まとめ
乳がん検診の値段を「高い」と思われるかは人それぞれですが、早期発見を逃してしまうとそれ以上に治療にお金がかかったり、命にかかわってきます。
赤ちゃんにとって、ママは大切な存在です。
「自分は大丈夫」と過信せずに検診を受けることをオススメします。
シコリのようなものがある、皮膚の表面にひきつれがある、など少しでも違和感をおぼえたら必ずお近くの乳腺科を受診してくださいね。