最近、有名人や芸能人が「乳がん」になったというニュース頻繁に聞くようになりました。
それもそのはず、乳がんにかかる人は年々増加している傾向にあり
日本人女性が生涯で乳がんにかかる確率は11人に1人
となっています。
特に、20~30代前半に発症する乳がんを「若年性乳がん」といい、年々増加の傾向にあります。
また「若年性乳がん」の怖いところは、リンパ節などへの転移の割合が高いということ。
赤ちゃんが出来ると、ママの体はママだけのものではなくなります。
赤ちゃんの為にも、ママが健康にいる為にも、妊娠中・授乳中の乳がんについて知っておきたいですよね。
この記事では、妊娠中・授乳中の乳がんについて
という疑問を追求して書いていきます。
パッと読むための目次
妊娠期間中って乳がんになるの?
乳がんの発生には、「エストロゲン」という女性ホルモンが大きく影響してきます。
以前は、妊娠中の乳がんは、胎盤から女性ホルモンがたくさん分泌されるため、がんが進行・再発しやすいと考えられていました。
しかし、現在では妊娠や出産は「乳がんの進行や再発が高まることはない」という事が、明らかになっています。
「エストロゲン」という女性ホルモンが、乳がん細胞の中にある受容体が結びつくことで、がん細胞が増加、肥大化して乳がんを発症していきます。
妊娠をすると「プロゲステロン」という女性ホルモンが優位になり、乳がんの原因となる「エストロゲン」の影響が少なくなります。
そのため、妊娠中は乳がんにかかるリスクが低くなります。
海外の研究によると出産経験のない人とある人を比較した場合、出産経験のない人が乳がんを発症する確率は経験のある人の約1.2~1.7倍、日本はそれよりも高い2.2倍と報告されています。
母体と胎児の間には、がん細胞をブロックする働きがあるため、お母さんが乳がんでも、赤ちゃんにがん細胞が転移することはありません。
授乳期間中って乳がんになるの?
授乳のとき、脳下垂体から「プロラクチン」と「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
特に「プロラクチン」というホルモンは、母体の排卵を抑えるため、乳がんの原因となる「エストロゲン」というホルモンの量を減らします。
そのため授乳の期間中は、乳がんになる確率は妊娠期間中同様に、低下すると考えられています。
乳腺炎になった人って乳がんになりやすいの?
乳腺炎になったからといって、乳がんになりやすいということはありません。
乳腺炎は、乳汁のうっ滞や細菌感染によって起こる乳腺の炎症ですので、直接的には関係ありません。
乳がんチェックは月1で
乳がんは早期に発見できれば、90%が治療で治せると言われています。
また、乳がんは自分で触って気がつく方がほとんどで
- 入浴中の体を洗っているとき
- ブラジャーを着けるとき
- ベッドやソファ等でうつ伏せになったとき
などに違和感やシコリがあることから病院へ行ってみたところ、乳がんと診断されたというケースが多いようです。
月に1回程度、定期的に自分の乳房をチェックし、異常に早く気付くことが、大切です。
乳がんの疑いがある症状
シコリ
シコリと一言でいっても、「乳がんのシコリ」と「乳がんではない良性のシコリ」があります。
良性のシコリは、比較的弾力性があり、コロコロと動く傾向にあります。
逆に乳がんのシコリは、ゴリッとしていて、かなり硬い傾向にあります。
また、乳がんのシコリは周囲の組織に癒着するため、あまり動きません。
脇の下のリンパ節にがんが転移した場合は、乳房にシコリがなくても、脇の下にシコリが見つかる場合もありますので注意が必要です。
皮膚のへこみや肌のキメの変化
乳房の皮膚にえくぼ(へこみ、ひきつれ)ができたり、ガサガサした硬い部分ができたり、オレンジの皮のようになったりしている
乳首が引っ込んでいる
乳首が陥没する、引きつれがある、向きが変わる、左右の乳首の高さが異なる
乳首からの母乳ではない分泌物
血液が混じったような分泌物が片方の乳首から出てくる
腫れや赤み
乳房が赤っぽくなって浮腫んだように腫れている、熱っぽく感じる
乳頭、乳輪のただれ
乳頭や乳輪部に、湿疹やただれができている場合や、かさぶたとただれを繰り返す場合
上記の症状がある場合は、検診をオススメします。
妊娠中・授乳中の乳がん検診
妊娠期間中や授乳期間中でも、乳がん検診を受けることは可能です。
基本的に定期検診は、妊娠中や授乳中は必要ありませんが、異常を感じた場合は早急に乳がん検診をすることをお勧めします。
乳がん検診の検査方法について
乳がん検診といえば「マンモグラフィ」が主体ですが、マンモグラフィは乳房専用のX線撮影装置、つまりレントゲン検査を行う装置です。
「マンモグラフィ」で受ける放射線の線量は1~3ミリグレイと、胎児が影響を受けるとされる線量100ミリグレイに比べたらはるかに少ない量です。
また、基本的には乳房への被爆であって、赤ちゃんのいる腹部にはほぼ影響はありません。
ただし、本当に「マンモグラフィ」が必要な状況と判断されたわけでなければ、やはり妊娠中は「マンモグラフィ」ではなく「超音波検査(エコー検査)」がオススメです。
超音波検査(エコー検査)って?
超音波検査は、胎内の赤ちゃんの状態を診断するために使用されるものと同じで、ジェルを胸に塗って、プローブと呼ばれる機械を当てて乳房内部を映します。
超音波という特別な音を対象物にあてて、音が反射した様子を画像化することができます。
妊娠中は乳腺が発達してデンスブレスト(高濃度乳房)の状態になりやすく、乳がんの発見が困難になりやすいケースがあります。
デンスブレストの場合には、超音波検査が適している場合も多いのです。
忙しくて乳がん検診に行けない場合は
そんな方には、自宅でできる「血液検査キット」があります。
指先から少量の血液を採血し、それを送るだけでがんのリスク検査をしてくれます。
がんの他にも生活習慣病や感染症などの検査も同時に行うことが可能です。
まとめ
妊娠期間中や授乳期間中は
- 乳がんになる確率は低くなるけど、0ではない
- 定期的にセルフチェックをする必要がある
- おかしいなと感じたら早急に健診へ行く
ということが分かりました。
怖い話ですが、女性の30歳から64歳では、乳がんが死亡原因のトップです。
まず、他人事ではないと認識することが大切ですね。